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ベロ毒素とは?O26・O157との関係や症状・感染経路を解説

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「腸管出血性大腸菌O26(ベロ毒素産生)の感染が判明」

ニュースでこのような言葉を見て、「ベロ毒素って何?」「O157とは違うの?」と気になった人も多いのではないでしょうか。

ベロ毒素とは、一部の病原性大腸菌が作り出す非常に強い毒素です。

腸管出血性大腸菌というと「O157」がよく知られていますが、今回報じられた「O26」などにもベロ毒素を産生するタイプがあります。

感染すると下痢や激しい腹痛、血便などを起こし、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などにつながることもあるため注意が必要です。

この記事では、ニュースで注目された「ベロ毒素」について、O26やO157との関係、症状、感染経路、予防方法まで分かりやすく解説します。

腸管出血性大腸菌O26の感染が判明

2026年9月、鳥取県米子市で腸管出血性大腸菌の感染が相次いで確認されたことが報じられました。

報道によると、20代女性は職場健診の検便で「腸管出血性大腸菌O26(ベロ毒素産生)」への感染が判明しました。

また、別の女児には血便、下痢、腹痛などの症状が現れ、検査によって感染が確認されています。

ただし、現時点でこの2人に関連性は確認されていないとされています。

ここで気になるのが、ニュースに出てくる「ベロ毒素産生」という言葉です。

実は、腸管出血性大腸菌の危険性を理解するうえで、この「ベロ毒素」が非常に重要になります。

ベロ毒素とは何か?

ベロ毒素とは、一部の腸管出血性大腸菌が作り出す強力な毒素です。

「VT(Verotoxin)」と表記されるほか、「志賀毒素(Shiga toxin)」とも呼ばれます。

つまり、

ベロ毒素=志賀毒素群の毒素

と考えると分かりやすいでしょう。

厚生労働省によると、ベロ毒素には主に「VT1」と「VT2」があり、さらにそれぞれに亜型があります。

腸管出血性大腸菌に感染した際に特に警戒しなければならないのは、この毒素が腸だけではなく、全身に深刻な影響を及ぼす可能性があるためです。

引用元:第59話 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)をご存知ですか

なぜ「ベロ毒素」という名前なの?

少し変わった名前なので、

「ベロって舌のこと?」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、舌の「ベロ」とは関係ありません。

「ベロ(Vero)」とは、実験などで使用される「Vero細胞」と呼ばれる培養細胞に由来します。

この細胞に対して強い毒性を示すことから「Verotoxin(ベロ毒素)」と呼ばれるようになりました。

日本では「ベロ毒素」という名称が広く知られていますが、医学的には「志賀毒素(Shiga toxin)」という名称も使われています。

ベロ毒素は体内で何をする?

腸管出血性大腸菌が体内に入ると、腸管内で増殖し、ベロ毒素を産生します。

この毒素によって腸管などが傷つき、

・激しい腹痛
・水のような下痢
・血便

などが現れることがあります。

さらに問題なのは、重症化した場合です。

ベロ毒素の影響によって血管内皮細胞などが障害され、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがあります。

HUS(溶血性尿毒症症候群)とは?

HUSとは「Hemolytic Uremic Syndrome」の略で、日本語では「溶血性尿毒症症候群」と呼ばれます。

主に、

・溶血性貧血
・血小板減少
・急性腎障害

などを特徴とする重い合併症です。

腎臓の働きが低下するだけでなく、脳症などの重篤な合併症を伴うこともあります。

特に小さな子どもや高齢者などでは重症化に注意が必要です。

腸管出血性大腸菌は「下痢を起こす菌」というだけではなく、ベロ毒素によって全身に重大な影響を及ぼす可能性がある感染症なのです。

O26とO157は何が違う?

腸管出血性大腸菌ーO157

腸管出血性大腸菌というと「O157」が有名です。

しかし、O157だけがベロ毒素を作るわけではありません。

日本では、

・O157
・O26
・O111
・O121
・O103
・O145

など、さまざまな血清群の腸管出血性大腸菌が確認されています。

この「O」の数字は、大腸菌表面の「O抗原」の違いによる分類です。

つまり、

O157=157番のO抗原を持つタイプ
O26=26番のO抗原を持つタイプ

という違いです。

「O157だから危険、O26だから安全」という意味ではありません。

O26であってもベロ毒素を産生するタイプであれば、重い症状を起こす可能性があります。

ベロ毒素を産生する大腸菌の症状

腸管出血性大腸菌に感染しても、すべての人に同じ症状が出るわけではありません。

無症状の場合から重症化する場合までさまざまです。

代表的な症状として、

・腹痛
・水様性の下痢
・血便
・吐き気、嘔吐
・発熱

などがあります。

国立健康危機管理研究機構によると、潜伏期間は通常3~5日程度とされています。

特徴的なのは、激しい腹痛や水様便に続いて血便が現れることがある点です。

血便が出る、激しい腹痛が続く、尿量が減る、ぐったりするなどの異常がある場合には、自己判断せず医療機関に相談することが重要です。

ベロ毒素を産生する大腸菌はどこから感染する?

主な感染経路は「経口感染」です。

つまり、菌が何らかの形で口から体内へ入ることで感染します。

加熱が不十分な食品

腸管出血性大腸菌は牛などの家畜が保菌している場合があります。

そのため、十分に加熱されていない肉などを食べることで感染する可能性があります。

特に注意したいのが、

・生肉
・加熱不足の肉
・中心部まで十分に火が通っていないハンバーグ
・焼肉などで生肉を扱った箸やトング

などです。

汚染された食品や水

肉だけが原因とは限りません。

菌が付着した食品や水を介して感染することもあります。

過去には給食や仕出し弁当などによる集団感染も報告されています。

人から人への二次感染

感染者の便などを介して菌が手に付き、その手から口に入る「糞口感染」が起こることもあります。

特にトイレの後や、おむつ交換後の手洗いは重要です。

わずかな菌でも感染する可能性がある

腸管出血性大腸菌で特に注意したいのが、比較的少ない菌量でも感染が成立する可能性があることです。

厚生労働省の資料では、感染成立に必要な菌量は約100個と少ないとされています。

そのため、

「少しくらいなら大丈夫」

とは考えない方がよいでしょう。

食品の十分な加熱、調理器具の使い分け、手洗いなど基本的な食中毒対策が重要になります。

ベロ毒素は加熱すれば大丈夫?

感染予防という意味では「食品を十分に加熱すること」が非常に重要です。

ポイントは、ベロ毒素だけを意識するのではなく、そもそもベロ毒素を作る腸管出血性大腸菌を食品から体内へ入れないことです。

家庭では、

・肉を十分に加熱する
・生肉用と食事用の箸を分ける
・焼肉では生肉用トングを使用する
・まな板や包丁を清潔にする
・調理前後に手を洗う
・調理した食品はできるだけ早く食べる

といった対策が基本になります。

特に小さな子ども、高齢者、抵抗力が低下している人が食べる食品では十分な加熱を心がけましょう。

感染しても症状が出ないことがある

今回のニュースで注目したいポイントの一つが、20代女性の感染が「職場健診の検便」で判明したことです。

腸管出血性大腸菌に感染した人すべてが、激しい腹痛や血便を起こすわけではありません。

症状がない「無症状病原体保有者」が検査によって発見されることもあります。

感染症法では、腸管出血性大腸菌感染症は三類感染症に指定されており、無症状病原体保有者についても届出の対象となります。

症状がないからといって、必ずしも菌を持っていないとは限らないわけです。

腸管出血性大腸菌の治療方法は?

国立健康危機管理研究機構では、腸管出血性大腸菌感染症の治療について「対症療法が中心」としています。

下痢や腹痛があるからといって、市販の薬を自己判断で使用するのではなく、血便や強い腹痛などがある場合には医療機関へ相談することが大切です。

特に、

・乳幼児
・高齢者
・血便が出ている人
・激しい腹痛がある人
・尿量が減っている人
・ぐったりしている人

などは早めの受診を検討してください。

家庭でできる腸管出血性大腸菌の予防方法

ベロ毒素そのものを怖がるだけではなく、「菌を口に入れない」ことが最大の予防策です。

家庭では次の基本対策を徹底しましょう。

肉は十分に加熱する

表面だけではなく、中心部まで十分に加熱します。

特にハンバーグなどのひき肉料理は内部まで菌が入り込んでいる可能性があるため注意が必要です。

生肉を触った器具をそのまま使わない

生肉を扱った包丁、まな板、箸、トングなどから別の食品へ菌が移る「二次汚染」に注意します。

石けんでしっかり手を洗う

調理前後、食事前、トイレ後、おむつ交換後などには手洗いを徹底します。

調理した食品を長時間放置しない

調理後はできるだけ早く食べることも食中毒対策として重要です。

ベロ毒素は「O157だけ」の問題ではない

「ベロ毒素」と聞くと、多くの人がO157を思い浮かべるかもしれません。

しかし、今回のニュースで確認されたのはO26です。

O157、O26、O111などは菌の分類を示す名称であり、本当に注目すべきポイントの一つは「ベロ毒素を産生するかどうか」です。

そのためニュースなどで、

「腸管出血性大腸菌O26(ベロ毒素産生)」

と書かれていた場合には、

「O157ではないから大丈夫」

と考えるのは適切ではありません。

ベロ毒素についてのQ&A

ベロ毒素は人から人へ直接飛んで感染するの?

ベロ毒素そのものが、インフルエンザのように空気中を飛んで人から人へ感染するわけではありません。

問題となるのは、腸管出血性大腸菌が食品や手などを介して口に入ることです。

家庭内ではトイレ後やおむつ交換後などの手洗いが重要になります。

O26に感染したら必ず血便が出る?

必ずではありません。

無症状の場合もあれば、軽い下痢だけの場合もあります。一方で激しい腹痛や血便、HUSなどを起こす場合もあり、症状には大きな差があります。

腸管出血性大腸菌にはワクチンがある?

現在、一般に使用できる承認済みワクチンはありません。

そのため、十分な加熱や手洗い、調理器具の衛生管理などによって感染を防ぐことが重要です。

「O26」と「O157」は毒素の名前なの?

違います。

O26やO157は大腸菌をO抗原によって分類した「血清群」の名称です。

ベロ毒素は、それらの一部の菌が作り出す毒素の名称です。

まとめ|ベロ毒素とは腸管出血性大腸菌が作る強力な毒素

ベロ毒素とは、一部の腸管出血性大腸菌が産生する強力な毒素で、「志賀毒素」とも呼ばれます。

腸管出血性大腸菌ではO157が有名ですが、O26やO111などにもベロ毒素を産生するタイプがあります。

感染すると腹痛、水様性下痢、血便などが現れ、重症化するとHUSや脳症などを引き起こす可能性があります。

今回報じられたO26についても、「O157ではないから危険性が低い」というわけではありません。

予防の基本は、食品の十分な加熱、調理器具の衛生管理、そして手洗いです。

「ベロ毒素」という聞き慣れない言葉に必要以上に恐怖を感じるのではなく、感染経路と正しい予防方法を知っておくことが大切です。

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