【新発見】犬とキツネのミックス『ドックシム』の存在が確認される！

2021年、ブラジル南部でイヌらしき動物が車にはねられ、動物保護センターに運ばれた。この動物はキツネの特徴を持ちつつ、イヌのようにほえ、ネズミを好んで食べるなどの特異な行動を示した。獣医師たちは、この動物がイヌとキツネの交雑種ではないかと疑い、ブラジルの遺伝学者に連絡した。

犬とキツネの交雑種（ミックス）『ドッグシム』の発見

2023年8月、この動物がイヌとパンパスギツネの交雑種であることが学術誌「Animals」にて発表された。この発見は、動物遺伝学の研究者たちの間で大きな注目を集めた。イヌとパンパスギツネは「670万年もの隔たりがある2つの異なる属」の動物であり、このような交雑は非常に珍しい。

この交雑種は「ドッグシム」と名付けられ、その存在は環境の変化や人間の活動によって、異なる種間での交雑が増える可能性を示唆している。

ドッグシムの染色体の数を調べることで、交雑の証拠が見つかった。ドッグシムは76本の染色体を持ち、これはイヌとパンパスギツネの交雑によって生じた可能性が高いとされた。さらに、ミトコンドリアDNAと核DNAの検査を行い、イヌとパンパスギツネの遺伝情報が混在していることが確認された。

環境破壊や都市開発により、パンパスギツネの生息地が減少しており、イヌとの接触が増えている。また、捨てられたイヌが自然環境に増えていることも、交雑の一因とされている。

交雑種は、健康上の問題や生存に不利な特徴を持つことが多い。ドッグシムも健康体であったが、2023年3月に死亡した。交雑種が新たな病気や遺伝子の弱点を持ち込むことで、在来の種の生存に影響を及ぼす可能性がある。

「イヌとキツネの子」は「人とチンパンジーの子」程の遺伝子的隔たりがある。そんな中で発見されたのがこの『ドッグシム』の存在である。このような異種間の交配は稀なのか、それとも比較的よくあることなのかは（万年単位で）まだよく解かっていない。

ドッグシムの発見は、野生動物保護にとっての大きな問題を提起している。交雑が野生動物の遺伝、生態、行動に及ぼす影響の研究は、今後の保全活動において重要となるだろう。

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