世界情勢が不安定化する中、ホルムズ海峡の封鎖が現実味を帯びています。もしこの海上輸送路が止まれば、原油価格の高騰、物流の停滞、生活必需品の欠品が現実になるでしょう。
加えて、日本では地震、台風、感染症の再拡大といった自然災害も常にリスクとして存在します。こうした複合的な“生活インフラの停止”に備えて、今こそ「家庭備蓄」が重要視されています。
ホルムズ海峡の封鎖で日本への石油の輸送は完全に止まる？
完全に止まるわけではありませんが、極めて深刻な影響が出るのは間違いありません。
日本が輸入する原油の約8割は中東からで、そのほとんどがホルムズ海峡を通過しています。この海峡が封鎖されれば、日本のエネルギー供給の生命線が断たれることになります。ただし、いくつかの緩和策や備えも存在します。
日本の対応と影響の見通し
国家備蓄：日本は過去の石油危機を教訓に、約200日分の原油備蓄を保有しています。これにより、短期的な供給停止にはある程度耐えられます。
代替ルートの限界：サウジアラビアやUAEには紅海やオマーン湾に抜けるパイプラインがありますが、輸送能力は限られており、ホルムズ海峡の代替にはなりません。
価格高騰と生活への影響：封鎖が長期化すれば、原油価格が急騰し、電気代やガソリン代、食品価格などが上昇。
LNGや他の燃料への波及：LNGの中東依存度は低いものの、世界全体の供給網が混乱するため、価格上昇や調達遅延のリスクもあります。
つまり、完全に止まることはないが、実質的な「供給危機」に陥る可能性が高いというのが現実です。
ちなみに、ホルムズ海峡は1日あたり約2,000万バレルの原油が通過する、世界最大の石油チョークポイント。ここが封鎖されるというのは、世界経済全体にとっても大事件です。
インフラが止まる前に「できること」から備える
停電・断水時に最も役立つのが、カセットコンロとカセットガスです。電気調理器が使えなくなった際にも、加熱や簡単な調理が可能になります。実際に「IHが使えず、カセットコンロが命綱になった」と話す声もあります。
そして、水の確保は何よりも最優先。人が健康に過ごすには1人1日約3リットルの飲料水が必要です。例えば家族4人で1週間となると、なんと84リットル。未開封なら多少の期限切れでも蒸発以外に問題は少なく、備蓄用として保管する価値があります。
見落としがちな日用品が“命を守る”
買い占めが起きやすいトイレットペーパーやティッシュ類は、思っている以上に重要です。「トイレの天井まで積んでる」「ふるさと納税でまとめ買いしている」といった声もあるほどです。
また、下着やタオルなどの衣類品も、水が使えない生活では清潔を保つための重要アイテム。「洗濯できない生活では、着替えや使い捨て下着が命綱になる」との経験談もあります。
家族構成・体調に応じた備蓄も忘れずに
子どもがいる家庭では紙オムツや粉ミルクが必須です。「災害時に最も困ったのがこの2つだった」という声は非常に多く見られました。
また、高齢者や女性がいる家庭では大人用紙オムツや生理用品も欠かせません。
さらに、処方薬や常備薬、湿布、目薬といった医療用品の予備も必要です。特に喘息や糖尿病などの持病がある場合は「薬の備蓄が生命線」とも言えます。
通信・情報・電源の維持は「命綱」
停電でスマートフォンやテレビが使えなくなると、正確な情報の取得や家族との連絡が不可能になります。
そのため、以下の備えが有効です：
- モバイルバッテリー（ソーラー充電対応がおすすめ）
- 懐中電灯・LEDランタン（電池・ソーラー式）
- 手回し充電ラジオ（FM/AM対応）
- 車用DC/ACインバーター（100V電源が使える）
また、EV（電気自動車）を自宅電源として活用する家庭も増えており、「車が“動く蓄電池”になる」という新しい備え方も注目されています。
非常食は“おいしさ”も備える
保存食といえば、缶詰やレトルト食品が定番ですが、「非常食が不味くて食べられなかった」という苦い経験も多く報告されています。
実際の備えとしては：
- 普段から食べ慣れているレトルト食品をローリングストック
- カロリーメイト・シリアル・栄養バーなどの補助食品
- 甘いもの（飴・チョコレート・インスタントコーヒー・紅茶）で精神的安定も確保
非常時こそ、日常の味が「心の支え」になります。
忘れてはいけない、生活衛生と防災の基本
トイレが使えない、風呂に入れない――そんなときに活躍するのが簡易トイレ・体拭きシート・ドライシャンプーです。
● 簡易トイレの構成：
- 凝固剤
- 厚手のポリ袋
- バケツ型便器 or 折りたたみトイレ
- 消臭剤 or ラップフィルム
また、懐中電灯・笛・手袋・工具類・軍手などの基本的な防災グッズも、備えとして抜けがちですが非常に重要です。
中には「焚火セットやバイオトイレの材料」「野菜の種を備蓄している」など、より長期的な自給自足を視野に入れている家庭も見られました。
備えることは“誰かを助ける”行動にもつながる
備蓄は単なる自己防衛ではなく、助け合いの土台にもなります。
「子ども連れの家族に紙類を譲った」「自分の在庫があったから他人を助けられた」という経験もある一方で、
「分けてと言われても自分の分が減ってしまう不安もある」という現実的な声もあります。
だからこそ、“自分の分＋少し余分に”備える意識が、社会的な安心にもつながります。
備蓄は“スペースとの戦い”でもある
特に都市部では、「収納スペースがない」「生活感が溢れる」との課題も。
- 収納ボックスを分ける
- クローゼット下、ベッド下を有効活用
- 使用頻度に応じた優先順位づけ
“見た目”より“中身”にこだわることが、生き延びる力になります。
最後に：備えは「未来の安心」をつくる
災害、封鎖、感染症、停電、物流停止――
すべてが「今すぐ起こる可能性」を持っています。
でも、未来を守るためにできることはシンプルです。
不安になる前に、備える。
心配する前に、準備する。
それが、家族と自分の暮らしを守る最も現実的で有効な一歩です。
【備蓄チェックリスト一覧】まずはここから揃えよう
| カテゴリー | 備蓄アイテム例 |
|---|---|
| 水と食料 | 飲料水、レトルト食品、缶詰、乾麺、栄養バー、お菓子、インスタント飲料 |
| 調理関連 | カセットコンロ、カセットガス、サランラップ、アルミホイル |
| 衛生用品 | トイレットペーパー、簡易トイレ、ティッシュ、石鹸、ウェットティッシュ、生理用品 |
| 衣類・生活品 | 下着（使い捨て含む）、タオル、ドライシャンプー、防寒着、マスク |
| 医療関連 | 常備薬、処方薬、絆創膏、湿布、目薬、体温計 |
| 通信・照明 | モバイルバッテリー、LEDランタン、懐中電灯、手回しラジオ、車用インバーター |
| その他便利品 | ビニール袋、洗剤、乾電池、工具セット、防虫スプレー、野菜の種、現金、貴重品コピー |
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