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日立製作所の『ジャベリン』がイギリスの寒波に圧勝!圧倒的技術力で信頼確立!

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イギリスの鉄道市場で、日本の技術力が大きな注目を浴びた瞬間が訪れました。2009年、イギリス初の日本製高速鉄道車両「ジャベリン」(Javelin)は、デビュー当初はそのデザインや速度で批判を受けましたが、運命を変えたのは同年末に発生した大寒波でした。ユーロスターが故障で立ち往生する中、ジャベリンは過酷な状況をものともせず、500名以上の乗客を救出。圧倒的な技術力で厳しい環境に対応し、イギリス国民からの信頼を一気に獲得したのです。この記事では、ジャベリンの成功と、日立製作所がいかにしてその技術力を武器にヨーロッパ市場において信頼を確立したのか、その全貌を探ります。

画像引用元:ウィキメディア

日立製作所は、日本の製造業を代表する企業として、長年にわたって様々な分野で世界的な成果を挙げてきましたが、その中でも特に注目されるのが、イギリス鉄道市場での成功です。日本国内における高性能な鉄道技術を背景に、日立は**高速鉄道車両395系「ジャベリン」**の導入を通じて、イギリス鉄道市場で大きな地位を確立しました。395系ジャベリンは、2009年に運行を開始し、その技術力と信頼性で、イギリス国内外から高い評価を得ています。


イギリスでの初進出:395系「ジャベリン」の登場と当初の課題

395系「ジャベリン」は、**イギリスの高速鉄道路線「ハイスピード1(HS1)」**において、ロンドン・セントパンクラス駅から英仏海峡トンネルの入り口までを結ぶ新たな高速鉄道車両として2009年にデビューしました。最高速度は225km/hに達し、従来のイギリス鉄道に比べて高速化が図られました。この車両は、日本の新幹線技術をベースに設計されており、イギリスの鉄道市場においても日立製作所の技術力を証明する大きなチャンスとなりました。

しかしながら、ジャベリン導入当初は、デザインや速度に対する批判が少なくありませんでした。多くのヨーロッパの乗客にとって、ジャベリンのデザインは「ダサい」と評され、日本の新幹線風のフォルムは彼らの美的感覚に合わないと感じられていました。また、最高速度が225km/hと、**競合する「ユーロスター」**の300km/hに比べて見劣りする点も批判の一因でした。

ジャベリンが本当の意味で評価され始めたのは、2009年12月の異常な寒波の際でした。寒波はヨーロッパ全土に大混乱をもたらし、多くの鉄道が運行不能に陥りました。とりわけ、ユーロスターは英仏海峡トンネル内で故障し、数百人の乗客がトンネル内で取り残される事態となりました。この状況で、ジャベリンは救援列車として派遣され、約500名の乗客を無事に救出しました。この際、ジャベリンは寒波や極端な気象条件下でも確実に運行できる技術力を証明し、一気にその評価を高めました。

この出来事を契機に、技術的優位性が認識され、遅延がほとんどなく、信頼性の高い運行が可能な車両として、ジャベリンはイギリス国内の鉄道市場で大きな存在感を持つようになりました。加えて、2011年には無故障走行距離が26万kmに達し、イギリスの鉄道車両の平均無故障走行距離4.6万kmを大きく超える記録を樹立しました。これにより、ジャベリンはイギリスにおける最も信頼性の高い車両の一つと見なされるようになりました。


ロンドンオリンピックでの成功とイギリスでの信頼確立

ジャベリンの評価をさらに高めたのは、2012年のロンドンオリンピックです。この大会において、ジャベリンは公式シャトル列車として、ロンドン中心部とオリンピック会場を結ぶ輸送を担いました。セントパンクラス駅から会場最寄りのストラトフォード駅まで、6分間隔で運行し、大量の乗客を迅速かつ安全に輸送しました。

オリンピックのような大規模イベントでは、正確な運行高い安全性が必須ですが、ジャベリンは遅延も事故もなくこの重要な任務を完遂しました。この成功により、日立の技術力は世界的に高く評価され、イギリス国内でもジャベリンはますます信頼されるようになりました。日本製の技術が、ヨーロッパ市場でも通用することを証明した瞬間であり、日立製作所の鉄道技術が世界で認知される大きなきっかけとなりました。


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395系ジャベリンは、さらに長期的に信頼性と快適性を保つために、2023年から大規模なリニューアルが行われています。約2,700万ポンド(約45億円)を投じて、車両の設備を大幅に改良し、最新の技術が導入されています。

具体的には、LED照明の導入、座席やカーペットの更新に加え、各座席にUSBポートを設置するなど、乗客の利便性が大幅に向上しました。また、車内のバリアフリー対応も進められ、障害を持つ乗客が利用しやすい設計変更が行われました。さらに、リアルタイム情報提供システムや、AIを活用した架線モニタリング装置が導入され、運行状況を把握しやすくし、安全性の向上にも貢献しています。

これにより、日立製作所は、技術革新とサービス向上の両面でイギリス鉄道市場における競争力を強化し続けています。


都市間高速鉄道計画「IEP」とバイモード技術

ジャベリンの成功を基盤に、日立製作所はさらなるプロジェクトを進めていきました。特に注目すべきは、イギリス国内で進行中の都市間高速鉄道計画「インターシティ・エクスプレス・プログラム(IEP)」です。IEPは、イーストコースト本線(ECML)およびグレートウェスタン本線(GWML)に導入される新型車両を製造する大規模プロジェクトであり、計866両を製造し、さらに27.5年にわたるメンテナンス契約も含まれています。

このプロジェクトの中心には、バイモード車両技術が存在します。バイモード車両は、電化区間では架線から電力を供給し、非電化区間ではディーゼルエンジンで発電する仕組みを持つ車両であり、電化区間と非電化区間をまたがるイギリスの鉄道ネットワークに適しています。この技術は、鉄道の運行効率を大幅に向上させ、加速性能やエネルギー効率も最適化されています。


日立製作所は、イギリス市場での長期的な成功を目指し、現地化戦略を推進しました。その一環として、現地法人「日立レールヨーロッパ」を設立し、イギリス国内での製造・メンテナンス体制を強化しました。これにより、現地の鉄道事業者に対する迅速な対応が可能となり、車両のカスタマイズやメンテナンスの効率も向上しました。

さらに、イギリス国内に工場を建設し、1,000人以上の現地雇用を創出することで、日立はイギリス経済への貢献も果たしました。この現地化戦略は、イギリス国内での鉄道プロジェクトの受注拡大に寄与し、日立製作所がイギリス鉄道市場で確固たる地位を築くための鍵となりました。


課題と信頼回復

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日立はこれまで多くの成功を収めてきましたが、課題に直面することもありました。395系ジャベリンや他の車両で亀裂が発見された際には、迅速な対応を取ることで信頼を回復しました。亀裂が発見されるとすぐに運行を停止し、原因を徹底的に調査した上で、修正された車両を運行に戻すことで、大きな問題へと発展することを防ぎました。

こうした迅速で透明性のある対応により、日立は鉄道事業者や乗客からの信頼を失うことなく、さらなる事業拡大への道を開きました。


イギリス国内での日立の成功は、「ハイスピード2(HS2)」プロジェクトにも及びました。HS2は、イギリス版新幹線とも呼ばれる高速鉄道プロジェクトであり、日立はこのプロジェクトの一環として新型高速鉄道車両の製造を担当する予定でした。しかし、2022年にリシ・スナク首相が建設計画の縮小を発表したため、このプロジェクトは中断を余儀なくされました。

それでも、日立はこれまでの成功や実績を活かし、世界中の鉄道市場で事業を拡大することを目指しています。イギリス国内で築いた信頼は、将来的なプロジェクトにもつながると期待されており、今後も技術革新を続け、世界の鉄道業界をリードする存在となるでしょう。


結論:日立製作所の鉄道事業における未来への展望

日立製作所は、イギリス鉄道市場において395系「ジャベリン」の導入を通じて成功を収め、技術力と信頼性で確固たる地位を築きました。その後のプロジェクトでも、バイモード技術やデジタルソリューションの導入により、さらなる革新を続けています。課題に直面しながらも迅速な対応で信頼を維持し、現地化戦略を成功させたことで、日立はイギリス鉄道市場だけでなく、世界的な鉄道業界におけるリーダーとして成長を続けています。

今後も、日立製作所は持続可能な鉄道システムの開発に取り組み、次世代の鉄道技術を世界中に提供する企業として、ますます注目を集めるでしょう。

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