「血圧が低いのは健康的」と思われがちですが、実は慢性的なだるさやめまいの原因となっていることも少なくありません。この記事では、低血圧の定義から症状・原因・改善方法まで、医師監修情報をもとに網羅的に解説します。
血圧低いとどうなる?放置による影響とは

低血圧とは、収縮期血圧(上の血圧)が100mmHg以下の状態を指し、体に送られる血液が不足することで以下のような影響を及ぼします。
- めまい・立ちくらみ
- 慢性的な倦怠感や疲労感
- 頭痛や朝の寝起きの悪さ
- 集中力の低下
- 手足の冷えや動悸
特に重度の場合は、失神やショック状態など、緊急医療を要するケースもあります。
血圧が低くなる原因とは?
低血圧には大きく4つのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。
本態性低血圧(体質的要因)
- 若い女性、痩せ型、冷え性の方に多い
- 自律神経が低めに働きやすく、血流を維持できない
- 運動不足や筋力低下も一因
起立性低血圧
- 座位や仰向けから立ち上がったときに発症
- 自律神経の調整不良によって血流が一時的に減少
- 高齢者やストレスの多い人に多い
食後低血圧
- 食事後、消化器に血液が集中し全身の血圧が低下
- 高齢者や糖尿病、高血圧治療中の方がなりやすい
症候性(二次性)低血圧
- 心臓病(心不全・不整脈)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎不全)など
- 薬の副作用(降圧剤、抗うつ薬、利尿剤など)でも起こる
血圧が低いと起こる症状を詳しく解説
一般的な症状
- 立ちくらみやめまい:脳の血流が不足することで発生
- 頭痛や重さ:酸素供給が減ることで頭が重く感じる
- 倦怠感・疲れやすさ:全身に血液が届かず、エネルギー不足に
- 冷えや動悸・息切れ:末梢血管への血流が減少
- 朝が起きられない:血圧が十分に上がらず、目覚めが悪い
シーン別の症状例
シーン | 起こる症状 | 対策 |
---|---|---|
起床時 | ふらつき・起き上がれない | ゆっくり起き上がる、白湯を飲む |
食後 | 強いだるさ・眠気 | 食事を分けて摂る、食後にカフェイン |
仕事中 | 集中力低下・ふらつき | ストレッチ・こまめな水分補給 |

低血圧になりやすい人の特徴
- 遺伝的に血圧が低い家族がいる
- 女性(特に10〜30代の痩せ型)
- ストレスや過労、不眠が多い
- 栄養不足(特に鉄分やたんぱく質の欠乏)
- 高齢で降圧薬や利尿剤を服用している
低血圧と「急なだるさ」の関係
「急に体が重くなった」「突然めまいがする」――こういった症状は、一時的な血圧低下による血流不全が原因の可能性があります。
特に注意すべきなのは以下のケースです:
- 食後1時間以内の強い眠気・だるさ
- 長時間の立ち仕事中のふらつき
- 起床直後の意識もうろう状態
これらの症状が続く場合、病的な低血圧の兆候かもしれません。
低血圧を改善する5つの生活習慣
1. 規則正しい生活を送る
- 起床・就寝時間を整える
- 朝食をしっかり摂る(特にたんぱく質)
2. 十分な水分補給
- 1日1.5〜2Lを目安にこまめに飲む
- 起床後・入浴後は特に意識して水分摂取を
3. 塩分と栄養の見直し
- 塩分は1日6g〜7g程度を意識
- 鉄分・ビタミンB群・ビタミンE・たんぱく質を積極的に摂取(赤身肉・魚・豆製品など)

4. 運動で血流を促進
- ウォーキング、ストレッチ、水中歩行など
- 無理のない範囲で毎日継続するのが理想
5. カフェインを適度に活用
- 食後の眠気対策にはコーヒーや紅茶が効果的
- 1日2〜3杯までを目安に
医療機関を受診すべきサイン
以下のような症状がある場合は、すみやかに医療機関へ相談しましょう。
- 失神や意識消失を繰り返す
- 血圧が常に90/60mmHgを下回る
- 動悸・息切れ・胸痛などを伴う
- 生活に支障が出るほどの疲労・だるさが続く
診察時には「家庭での血圧記録」や「症状が起こる時間帯」などを持参すると診断がスムーズです。

貧血と低血圧の違いにも注意
比較項目 | 低血圧 | 貧血 |
---|---|---|
原因 | 血圧が低い | 赤血球またはヘモグロビンが不足 |
主な症状 | めまい、冷え、だるさ | 息切れ、顔色不良、疲れやすさ |
対処法 | 生活習慣の改善 | 鉄剤・栄養療法 |
検査 | 血圧測定 | 血液検査(Hb・フェリチン) |
まとめ|低血圧は「体質」ではなく「注意すべき状態」
低血圧は、高血圧のような即時的なリスクは少ないものの、日常の不調や事故のリスク要因となる場合もある重要なサインです。
特に女性や高齢者に多く、症状が出やすいため、軽視せずに対策を講じることが大切です。
「なんとなくだるい」「立ちくらみが頻繁」――そんな不調を感じたら、今日から少しずつ生活を見直してみましょう。

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